花子でくつろぎ、某通りへ

1回行っただけなのに、常連のような顔をして「花子」でくつろぐ

 19時「花子」着。昨日は料理の量がわからず、ただ単にうまいものを食べるために闇雲に選んでしまったが、今日はメニューをじっくり眺め、自分の腹具合と相談しながら考えた。とは言うものの、凡人には斬新な料理は似つかわしくない。

 結局「焼き鳥」「アジ塩焼き」「カニ雑炊」にビールが2本と、日本で頼むのとあまり代わり映えしない注文となった。しかし焼き鳥は柔らかく、アジは日本のアジとはちょっと違う形のようだが、ちゃんとアジの味でうまかった。

 料理の方は満足できたのだが、金曜日だったせいか客の質がいまいちに感じられた。今回は私はカウンターのはじのほうに座ったのだが、中央に座った客がやけにえらぶっている。大声で話し、近くに来た女の子の手をやたらにぎっている。なんやかやと女の子を近くに呼び、触りたがっているのが傍目にもよくわかる。

 大声でタイ語もどきを話し(もしかしたらちゃんとしたタイ語なのかもしれないが)、周りの客を省みる余裕は無く、ただひたすら自己満足の世界だ。タイ駐在が長いのだとは思うが、あの体たらくではあまり同情できない。

 店の女の子から苦情がいったのか、遂にママさんが登場。横に座り適当にあしらい始めた。それを境に女の子は一斉にいなくなってしまった。今回私のお相手をしてくれたのは、昨日入店した(ママさんが紹介してくれた)という新人の可愛い子。まだ日本語はほとんどわからない。注文をローマ字で書いていた。

 ただ英語が少し通じるようなので、ちょっとばかり片言英語の会話を楽しめた。私がこの女の子と仲良く話し始めたことに気を悪くしたのか、ママさんに諌められたのか、先ほどの中年男性はいつのまにか帰ってしまった。おかげさまで、それ以後私のほうはますますゆっくりとくつろぐ気分に浸ることが出来た。

某通りの某店に再度入店し、女の子と話す

 店を出たのは20時。さてどうするか。結局また例の某通りの某店に出向いた。店のシステムが理解できたので、今回は入店にさほど勇気を要しない。通りをウロウロすることなく、迷わず入店。ビールを注文し、ソファーでくつろぐ。

 目の前では女性が踊っている。昨日は、全体を見渡して帰ってしまったが、今日はもう1歩踏み込んでみることにした。慎重派のおじさんは、毎日少しずつ慣れていくのである。まだるっこしいし、お金も余計にかかるような気もするが、安心と安全と楽しさを少しずつ味わうためである。

 さてどの女の子と話をするか、みんな可愛いので決めかねるが、やはり最初は明るい子に限る。案内係りの女の子に聞いてもいいのだが、昨日ビールだけ飲んで帰ってしまったため、今日はほとんど話し掛けてこない。しかも金曜日の夜のせいか、客も多く忙しそうな雰囲気だ。こうなると消極的なおじさんには具合の悪い局面だ。

 しかしバンコクの夜は今日と次の日しかない。もし本気で話をしたいなら、今日がもっとも時間的余裕がある。そこまで考えて決心した。小心者のおじさんは決めるのが遅い。しかし決めたことは滅多に覆さないことも事実だ。

 女の子の中で、一番明るくチャーミングな子を選んで、胸の番号を案内係に告げた。さて吉と出るか凶とでるか、結構ドキドキもんだ。

 初恋の男の子が好きです、と告白するような感慨をわずかばかり酔った頭で感じることが出来た。さて結果は「OK」。呼びかけた女の子がこちらを向いて手を振ってくれる。「やった〜!」高校生に戻った気分だ。あまりに稚拙で純粋だと思うかもしれないが、実際気持ちは若くて純心なのだ。

 しばらくして踊り終わった先ほどの子が、横に座った。当り障りの無い話をいくつか。そこそこ英語が通じるのがありがたい。もちろん日本語はまったくダメ。酔っ払っているので、つい日本語が出てしまうのだが、そのたびに首を振られて笑われる。その仕草が可愛らしい。

 こちらが人畜無害の当り障りの無い中年おじさんで、金もそこそこ持っていると思ったのか、友達がもう一人いるので呼んでもいいかと聞いてきた。どの子だと言うと、あの子、と指し示す先には、可愛い系ではなくスレンダーなきれい系の女の子がいた。

 こちらの会話を察知したのか、件の女の子もこちらに笑いかけてくる。「う〜む、これはやられたな」なんて訳の分からないことを考えながら、承諾。なんだか知らんが両手に花の状態になってしまった。ただ残念なことに、踊りの順番が来ると交代でステージに上がってしまう。その度に会話が途絶える。

 会話を継続するためには、店から一緒に出なければならない。「なるほど、それでぺイバーというシステムがあるのだな」と妙に納得してしまった。(実際にはもっと違った目的で連れ出す人が多いことは間違いない)

 ここにいたって、とりあえずこの手の店のシステムを完璧にマスターしたつもりになった。後は実際に連れ出して食事なんぞをしたらいくらぐらいかかるか、ということだが、これは体験してみないとわからない。

 しかし時刻はすでに夜10時を回っている。品行方正?なおじさんは、もう寝る時間なのだ。今回はここまでと考え、付き合ってもらったお礼にちょっとばかりチップを渡して退店。予想通り帰りがけにペイバーしないのかと案内係りの女の子に持ちかけられたが、丁寧にお断りした。


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