昼食を終え、法医学博物館へ

飲茶食べ放題だが、とても食べる気にならない

 時刻はちょうど12時。昼食の時間だ。車に乗り込み向かった先は、「あれ?ここは見たことあるぞ」

 そう、昨年初めてバンコクに来て、王宮帰りに昼食を食べようと駅に寄ったのだが、あまりの異文化感覚に恐れをなして、売店でパンを買って胃袋をなだめた、あのフワランポーン駅前だ。

 昨年はおどろおどろしい雰囲気を感じたが、今年は単なる田舎の駅に見える。その前を通過し、ちょっと路地に入った。「おいおい、この路地も見覚えがあるぞ」てなわけで、結局着いたのがバンコク・センターホテル

 どこかの中華のレストランに行くとばっかり思っていたので、ちょっとショック。まあそれでも飲茶食べ放題の文字が無くなったわけではないし、ホテルのレストランだからそれなりにうまいだろうとこの時点では考えていた。

 車を降りてホテルに入り右に進むと目指すブッフェレストランがあった。飲み物は自腹であとは好きなだけ食べてよいみたいな説明を受けて、一同トレイを持っておかずコーナーに進む。おかずはたしかに15種類ぐらいあって、見た目はそこそこおいしそうだ。

 しかし実際に食べてみると、味付けが中華風なのかタイ風なのか、いまいちコンセプトがはっきりせず、中途半端な味になっている。

 横浜中華街で鍛えた舌が、あまり料理を受け付けない。これはまいった。これではいくら食べ放題と言われても箸が進まない。同行の若者たちも、同様のようで、むしろ今日の夜の予定のほうが気になる様子だ。

 結局腹8分目はおろか、5分目ぐらいの状態で食事を諦め、あとはホテルロビー近辺をうろうろして時間をつぶす。

 ちなみについでに飲んだビールの値段が120バーツと、いくらホテルとはいえ、かなり暴利だなと感じた。そうこうするうちに時刻は1時。気持ちを入れ替え、法医学博物館(シーウイー博物館)に向かって出発だ。


法医学(シーウイー)博物館で命の尊さを感じる

 車はチャオプラヤー川の船着場に到着し、ほんの少しだけクルーズを楽しむ。流れているのかどうかすら判然としない茶色に濁った川だが、交通量だけはやたら多い。

 特に上り下りの船と、川を横切る船とが交差する領域は結構スリルがある。上り下りの船だって、大きなタンカーみたいな船を曳いてくる場合もあるし、やけに高速でビュンビュン飛ばしてくる船もあるので、結局渋滞こそ無いものの、通常の道路の混沌状態と同じだ。

 ワンランという船着場で下船。ここからは徒歩だ。個人で来てもここから歩くことになると思うのだが、博物館までの細かい地図はガイドブックには載っていないので、探すのに相当苦労すると思う。

 というのも距離的には500mぐらいだろうが、道がかなり複雑に入り組んでいるし、案内板も特に見当たらなかったからだ。(後日案内の矢印が何カ所かあることを確認しました)

 車道だか歩道だか分からない道を、一同一列になって歩く。2車線の道なのに、両側に車が駐車しているので、実質車が行き来するのは1車線の広さしかない。その脇を人間が走ってくる車を避けながら歩いていく。

 ようやくの思いで到着した建物は、何の変哲も無いごく普通の病院に見える。中に入り右手の階段を登ると受け付けが見えてくる。エアコンが効いていて、汗が引いてくるが、それとは別に何やら重苦しい雰囲気も漂ってくる。

 ガイドブックには好き嫌いがはっきり分かれると書いてあるが、ここは好き嫌いで論じられる場所ではない。生命の尊厳が問われるところだと感じていた。解剖された標本と言うか献体が多数あるとの事なので、きちんと見つめなければいけないと心に決めていた。


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