船はほぼ満員の客を乗せて出航。すぐに川岸に巨大なホテルや様々な形をした寺院が見えてきます。しかしどの寺院も先端はみんな黄金色に輝いていたり、真っ赤に塗られていたりともかく派手です。
さらにその近代的な建物の間に、朽ち果てて今にも川の中に落ちそうな木造の建物がへばりついています。
このギャップの大きさが、バンコクという街を理解する象徴であるようにも思いますが、超近代ビルとスラムのような建物が、ほぼ同じ空間を占めていることが驚きです。
また川っぺりには洪水対策と思われる土嚢があちこちに積み上げられていました。土嚢の近くにまで水面が迫り、その先には真っ白いコンクリートでプールが作られている、なんて言うひじょうにアンバランスな光景が続きます。
船は右岸から出発しますが、時には左岸に行くため、川の中をジグザグに進む感じです。
一方、ごく普通に川を上ったり下ったりしている船もあり、またその大きさも公園に浮かんでいる手こぎボートのような大きさから、それこそ外洋に浮かんでいてもおかしくないと思われる大型の貨物船も行き来しています。
その中をまるでテレビゲームの障害物競走のように、あっちへふらふらこっちへふらふらしながら船は進み、時にはそばを通り過ぎる船がたてる波を受け、グラグラ揺れながら桟橋に近づいていきます。
桟橋に近づくと、船はいったん桟橋を通り過ぎるようにかすめ、その後バックで接岸。
最後尾に乗っているお兄ちゃんが、ロープを持って桟橋に飛び移り、杭にロープを巻き付けます。
その後乗客の乗り降りが始まりますが、最後の客が乗ったか乗らないうちに、船はエンジンの回転数をあげ、桟橋から離れていきます。
その瞬間にお兄ちゃんがロープをはずし、ちょっとばかり桟橋から離れた船に飛び乗るという離れ業を繰り返しています。
最後の乗客も大変だし、慣れているとはいえ、お兄ちゃんの身の上も心配になります。