第1日目 客と女の子達の駆け引き

 ウエイトレスさんがいなくなると、私の方はデジカメやガイドブック、メモ用紙の入ったショルダーバッグを脇に置き、「どれどれ気の合いそうな子はいるか」と近視乱視の入り交じった情けない目でステージを注視します。(ちなみにデジカメは夕食の撮影用で、ナナプラザ内は一切撮影禁止です)

 この時目ざとい人は分かると思いますが、ステージ上からもさりげなく客を値踏みする視線を感じます。この辺は瞬時に行われるようで、ステージの女の子達の目からレーザービームがさーっと新しく入ってきた客をかすめていく感じです。

 まあ当たり前だと思いますが、客が気の合いそうな女の子を探すのと同様、女の子も相性の良さそうな、乱暴者ではない、そしてちょっと金持ちに見える、そして気弱そうな?相手を瞬時に判別しているのだと思います。

 このあたりはどのゴーゴーのお店でも共通しているようで、何もステージ上だけでなく、ステージ脇で待機している子達も、客がカーテンをくぐった瞬間から席に座るまで見ているように思います。

 ステージ上からの視線は時々感じますが、これらの待機組からの視線はあまり感じません。

 しかしだかろこそでしょうか、先ほどのレインボー4の時もそうでしたが、どこらともなく見ていて、特に特定の誰かを呼ぼうという動作が見えなければさりげなく近づいてくるわけです。

 ステージ上の子のレーザービームと、こちらの視線がたまたまバッチリ合うこともあります。別に火花が散るわけではありませんが、気に入らない客でなければ、ほぼ100%ニコッとしますね。

 それで客側もうれしくなってニンマリ(女の子はニコ、客側はニンマリというニュアンス。微妙に異なります)すると、これは脈ありということになるようで、ダンス終了後その子が近づいてきたりします。

 いくらこっちが視線を送っても、ほとんどこちらを見てくれない場合もあります。何らかの下心を感じたか、相性が悪いと判断されたかだと思います。(よほどタイミングが悪い、という場合もありますが)特定のお客さんがすでに付いているのかもしれません。

 それにしても、ステージ上からはどのような世界が拡がっているのか。ちょっとでも高いところに上ると、ひじょうに視界は開けます。

 パッと見た瞬間に周りの世界の雰囲気が分かるというのは、私自身吹奏楽でフルートを吹いていたことがあり、何回もステージ上に上っているのでよく分かります。

 全体の客の雰囲気、個々の客の動作は、何百人と入る会場でも、特に前列の方は意外によく見えます。

 また今日の客は元気かとか、一生懸命演奏を聴いてくれるかというような雰囲気も感じ取れます。ましてやゴーゴーのステージの構造を考えると、客の一挙手一投足がすべて見られていると思って間違いないはずです。

 というわけで、カバンを脇に置いて、ビールを飲みながらステージを眺めます。その頃には、すでにステージ上の女の子達からは私の挙動が観察され、彼女たちの中に私への評価表が形成され、付き合ってよい客かどうかの区別が出来ているわけです。

 そんなことを考えながら、彼女たちは彼女たち、俺は俺、という感覚で気の合いそうな子を見つけるべく、必死に見つめます。最初の頃はこの「見つめる」と言うことが出来ず困りました。

 と言うのもご存じのように彼女たちの衣装が、男心をそそる衣装なので、それを見つめると言うことに最初は抵抗を感じたからです。しかし慣れというのは恐ろしいもの。平気で見て、チェックしている冷静な自分がいます。

 「う〜ん、今日はちょっと駄目そうかな。いや、でもあの子ならどうだろうか?」内心の葛藤が始まります。「しかし俺が呼んでも話だけだからなあ。こちらから呼ぶより話しかけられるのを待つか」なんて、いろいろ逡巡しながらビールをごくり。


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