第3日目 カナブナームへ

 船(チャオプラヤエクスプレス)はあちこちで客を降ろして、少しずつ船内は空いてきました。しかしどんなに混んでいても、その中をかいくぐって料金徴収のおばちゃんが、金属の筒をジャラジャラ言わせながら動き回っています。

 実は16番桟橋の名前をよく確かめていなかったので、おばちゃんが来たらなんて言おうかと思っていたのですが、面倒だから向こうが判断するだろうと思って、50Bを差し出しました。

 すると、すぐにお釣りとチケットをくれました。何か一律料金になったような気がしたのですがよく分かりません。25Bだったと思います。

 しかし渡されたチケットは1片3cmぐらいでペラペラの、吹けば飛ぶよな情けないチケットです。風で飛ばされてしまいそうですが、これを持っていないと、時たま再度料金を請求されることがあるので油断できません。ポケットの奧に丁寧に仕舞い込みます。

 船は桟橋に到着する度に派手にガツンとぶつかり、乗客が一斉によろめきます。まあよくも落ちない物だと思います。川の中にはホテイアオイとゴミが浮かび、その近くで魚がパクパクしています。この魚の生命力も凄いなと思います。なにせ10cm先も見えないような泥水です。

 王宮を過ぎ、カオサン近くを過ぎ、遂に目的地の16番桟橋に到着。今改めて桟橋名を確認すると「クルントン橋」という名前のようです。ここで降りたのは10人ぐらい。時刻は11時半。
リバーサイドレストラン カナブナーム
 降りた人たちは皆さん地元の人みたいで、そのままさっさと歩いてどこかに行ってしまい、私だけが桟橋周辺に取り残されてしまいました。

 「うへえ、観光客なんて誰もいないじゃん。どうしよう?」元来が小心者ですから、こうゆう場面ではすぐ心細くなってしまいます。

 歩くバンコクに出ていたレストランは、この桟橋の周辺に三つほど書かれているのですが、営業している様子がない、というか、ともかく周辺に人がいません

 しかしここでそのまま引き返すのも馬鹿馬鹿しいので、ちょっと川沿いのレストラン内を歩いてみようかと思い、すぐそばの「カナブナーム」というお店の中へ構わずズンズン入っていきました。

 もし誰も出てこなければ、その先のレストラン「リバー・バー」まで行ってみるつもりでした。
カナブナームから見た桟橋と橋
 ところがテーブル席の間を通り抜けようとした瞬間におばちゃんが姿をあらわし、挨拶。それでこの店も客がいないだけで営業しているんだと言うことが分かりました。

 そこでとりあえず「Drink OK?」と手で飲む真似をしてみると、「OK」とのことで、ちょっと椅子やテーブルは野暮ったい物の、これが地元の雰囲気だろうと判断して、一部屋根のついた、ちょっと高くなったテーブル席に陣取ります。

 目の前は帰りの船の桟橋で、左側には店のテーブルと椅子が並び、その先にゆったりと流れているのかどうかも分からない川が見えます。右側はクルントン橋が見え、時折そこを歩く歩行者が、物珍しそうに私を見ているのが分かりました。

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