シーロム・ビレッジでタイ舞踊鑑賞(2)

 この親切なお兄ちゃん、私がタイ語を話せないことを知って、すぐそばを通り過ぎるウエーターに声をかけ注文を受けるよう指示してくれました。正直、席に座ったもののどうしてよいやらわからなかったので、ひじょうにありがたく感じました。

 飲み物はと聞かれたので、シンハよりも味が軽いとガイドブックに書かれていたクロスターをオーダー。

 ビールが来て、とりあえず一口飲んでほっとした頃、同席の年配夫婦が話し掛けてきた。二人とも肌の色はフィリピン系で、淡い茶色と言ったところだろうか。

 旦那の方は苦虫を噛み潰したような顔をして、タイ舞踊なんか見たくないんだけど女房が言うんでしょうがないからついてきた、という顔をしています。

 どちらかというととっつきにくそう。奥さんのほうは気さくでにこやかな表情をしていたが、どうやら英語はダメなようで、ニコニコしているだけ。

 ところが話が始まると意外にこの旦那さんが気さくな人であった。英語で「一人旅か」とか「どこから来たか」というような、とりとめのない話を交わしましたが、お互いそれほど英語が達者ではないので、残念ながらあまり話が盛り上がらない。

 しかしちょっと会話を交わしただけで、なんとなくお互いの親近感は増します。今までなんとなく居心地の悪かった相席が、段々と居心地の良いものに変わってきました。

 次の話題を考えているとき、丁度うまい具合に料理が運ばれてきました。内容は写真を見てもらえばわかるように、いくつかのおかずが小皿に盛られていて、その中心に大皿が置かれています。

シーロムビレッジの食事

 そのときはその大皿の用途が良く分からず、幸いにも御飯が付いていたので、その御飯と小皿に乗っていたおかずを日本式に食べていました。しかしおかずの類はそれ以上出てこなかったので、結局その皿は使いませんでした。

 後になって考えてみると、その皿に御飯を必要量のせ、その上に好みのおかずをのせて食べるのが正解だったかなと思いました。つまり好みのおかずを大皿でブレンドして食べると言う方法ですね。

 しかし問題は味。正直なところあまりおいしいとは思えませんでした。料理が悪いのか、タイ料理が口に合わないのかは、このときはまだ良く分かりませんでした。特にタイ料理特有のちょっと甘ったるい味付けと臭いが気になりました。

 料金が料金なので、まあしょうがないのかなと思える部分もありますが、自分にはタイ料理は合わないかも、と疑念がちょっと芽生えました。隣の年配夫婦も全部は食べていなかったので、やはり料理そのものが、という結論も導けそうです。

 ビールをもう1本お代わりしたところで、ようやく舞台が明るくなってきた。ちょうどほろ酔い加減だ。同時にいきなりタイ特有の舞踊の衣装に身を包んだ妙齢の美女が二人、客席を巡回し始めました。希望によって、美女との記念写真が撮影できるようです。

 ハワイでも観光地の要所要所でこのような撮影が行われていたりしますが、概してその料金が高く設定されているので、新婚旅行以外利用したことはありません。

 従ってここでも誘いを受けましたが、ちょっと唐突だったので断ってしまいました。しかし冷静になってタイの物価や一人旅であったことを考えると、素直に応じて良かったのではないかとちょっと悔やまれます。

 さて舞台の方では楽器紹介が始まりました。タイ語、英語、日本語の順で解説が入ります。解説と同時に楽器が演奏されます。民族楽器特有の音色ですが、正直、それほど美しい音色ではなかったです。

 これらが合奏になると、美しい音色になるのかと若干期待したのですが、やはり民族楽器は民族楽器でした。個人的には笛の音や弦の音が好きなので、好みもあるかもしれません。

 8時半になり舞踊が始まった。衣装がきらびやかです。面をつけている場合とつけていない場合があります。特有の足捌きや指使いが如何にも伝統的に見えます。

シーロムビレッジのタイ舞踊

 場面場面の歴史的な説明があって、その踊りの意味が説明されましたが、実際の踊りと関連しているようには見えません。

 最初は真剣に見て、写真も撮っていたのですが段々飽きてきた。踊りそのものの背景に対する認識や踊り方の知識がまったくないままに鑑賞しているのだからやむを得ませんね。(フラなら、なんとなくイメージできるのですが)

 しょうがないのでビールを飲んだり他の客の様子を見たりしていましたが、やはり大半の観光客は飽きているようでした。隣の年配夫婦に至っては美女二人と記念撮影をして、その写真をもらっておきながら、それをテーブル上に残し退席してしまった。なんとなく分かる気もする。

 私自身も終わりが近づいたことを感じ、終わったときの混雑を予想して、ちょっと前に退席することにした。チェックをお願いすると、
ビール1本の値段が150B。破格の高さ。ホテルよりも高い。なるほどこれで儲けているんだ、と料金の安さを納得しました。



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