バンコクの魅力 交通事情

 交通事情については、基本的には嫌いだという人が多いと思います。ともかく渋滞が多いことは有名です。それでも私がバンコクに通い始めた頃すでにBTSやMRTが出来ていましたから、昔に較べるとかなり渋滞は解消されていたのではないでしょうか。

 しかしドンムアン空港から初めてリムジンに乗ったとき、車と車の間の数十cmの隙間に車のフロントをジリジリと進ませ、列に割り込んでいく様子は、「さすがに聞いていただけのことはある」という感想を持ちました。

 また市街をオプショナルツアーのバスで走っていたときも、フロントガラスの向こうに延々と続く渋滞を見て、明らかに歩く方が早いなと感じました。

 実際信号も長いときは数分間赤のままですから、渋滞するのが当たり前のような気もします。

 その後、今度は市街を歩いてみると、ともかく歩行者には優しくない街だなと感じました。メインの道路があると、そこから直角に多数の路地が伸びていますが、その路地の大半は行き止まりで、路地を入った車は再び元の道に戻ってくるしかありません。

 つまり魚の骨みたいに、背骨があってそこから多数の小骨があるものの、その小骨自体がどこにもつながっていないという鯵の開きみたいな状態です。

 しかも路地毎に信号はありませんから、ひっきりなしに車の出入りがあります。さらにバンコクでは渋滞を避けるためにトゥクトゥクと呼ばれる乗り物やバイク、自転車が車の合間を縫って走っています。

 忘れもしないバンコクのJCBプラザへ行く途中の路上で、路地を渡ることが出来ず立ち往生したことを鮮明に思い出します。

 なにせ歩行者がいようがいまいが、時速30km位で車やバイクが路地に突っ込んできたり出ていったりしていますので、車が途切れるのを待とうなんて思っていると永遠に横断できません。

 結局近くを歩いている人のタイミングを目安に横断しましたが、それだけで神経が疲れました。これを果たして楽しめるのかどうかというのが、ある意味バンコクを面白く感じるのかどうかの境目だろうなとも思いました。

 私の場合は一歩間違えば車やバイクとぶつかるという状況は嫌ですが、そうゆう街があるんだということに新鮮な驚きを感じ、さらに街全体に日本にはない熱気というか高揚感といったものを感じ、それが大変貴重なものであると思えました。

 日本の街はすべてがきちんと作られている優等生の街ですが、バンコクの街は歩道の凸凹もすさまじく、足元を見ながら左右の車やバイクを避け、さらに正面から来る人とぶつからないようにするという、荒削りの伸び盛りのガキンチョというかガキ大将というか、そんな強靱さを感じ、それがまた老境の域に入りつつある私のような人間にとって魅力の一つになっているような気がします。

 最近はこういった交通事情にも慣れましたが、、ある意味日本では味わえない、交通法規を無視して道路を横断するという快感もあるような気がしています。



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