バンコクの怪しい魅力 トラブル編

 バンコクに行って、初心者だと騙されることがあるなと何回か感じました。私はバンコクに行く前というか、今もそうですがハワイにかなりはまっています。

 しかしハワイはリゾート地ということを意識しているためか、ワイキキ近辺で危険だなと思ったことはほとんどありません。

 一度だけ真っ昼間にひったくりに合ったような人がいたのを見たことありますが、それ以外はせいぜいサーフィンで自分のボードが頭に当たったというような事故です。

 ところがバンコクの場合は、ガイドブックでも「微笑みの国」で「外国人に優しい」と書いてありながら、後ろの方に「王宮周辺の怪しい案内」とか「宝石詐欺」「賭博詐欺」「抱きつきスリ」といったような、およそ日本やハワイでは考えられないような危ない話が注意書きとして書かれていました。

 そうゆう意味から、最初のバンコク入りはどこへ行くにも緊張の連続。ところが不思議なもので、こちらが緊張しているとバンコク初心者だと言うことが、現地の怪しい人間には簡単に分かってしまうようです。

 最初に洗礼を受けたのがタクシー。旅行記を読んでもらえば分かりますが、ぼられました、というより向こうが値段をふっかけてきて、慌てて交渉してしまったのが敗因。すぐに降りてしまえば良かっただけです。しかし当時はそんなこと思いもよりませんでした。

 次が王宮周辺を一人で観光していたとき。場所が分からなかったのでちょっとガイドブックを見ていたら、すぐに近づいてくる人がいる。

 そして親切そうに、「どこに行きたいのか」と聞いて、「それなら、こう行けばよい」と教えてくれ、さらに「そのためにはこれに乗ると便利だ」とトゥクトゥクがさりげなく近づいてくる。

 まあ予備知識があったので、ひたすら断りましたが、何故かそういったことが数回あり、やはり態度や仕草でバンコク初心者は分かるんだなと納得。ちなみに丁寧に断れば、強引な誘いはしないのもバンコクの特徴。

 ただし相手を見下したり、居丈高になったり、感情的になったりすると、やはりトラブルに発展する可能性は大きいです。相手も人ですし、バンコクでは日本の価値観は通用しないと自分に言い聞かせて、丁寧に対応するのがトラブル回避の道だと思っています。

 その後も駅の構内でいきなり30代のおばさんが美しい英語で「ちょっと聞きたいことがあるんですが、英語は分かりますか」と、きれいなわかりやすい発音で聞いていきます。

 思わず相手が女性なのでしどろもどろになりながらも「はい、何でしょう」と答えると、今度は分かっているくせに「もしかしたら日本の方ですか」なんて聞いてくるもんですから、「おっ俺のヒヤリングも満更ではなさそうだ」とおもいつつ受け答えをしていると、「実は日本に兄弟がいて千葉県に住んでいます。

 たまには日本の話を聞きたいのですが、ちょっとそこら辺でお茶でも」なんて言われ、「これはさすがに怪しい」と警戒信号が頭の片隅で鳴り響き、「いや急いでいるのでごめんなさい」と言って分かれました。

 今になってみると、もしかしたら本当かという気がしないでもありませんが、やはり間違いなく何か下心があったんだろうという気がします。

 そんな経験をしたにも拘わらず、それも含めてそれまでの私の人生にはない体験だなと感じ、面白い街だと思ったのは、それほど大きな実害がなかったからかもしれません。

 ところがその後バンコクという街に慣れ、自分自身の旅行スタイルが街の中に溶け込むにつれ、当たり前ですが、こういった初めの頃の貴重な体験をすることが出来なくなりました

 面倒がなくなって良かったと言えばそれまでですが、いったい何が変わったのか?相変わらず小心者でオドオドしながら夜の街を徘徊したりするのですが、怪しい人から声をかけられることは滅多になくなりました。不思議です。

 その後一度だけ紙幣詐欺に遭いそうになりました。ターミナル21の地下街で中東系の男性にいきなり話しかけられ、「自分は趣味で日本の紙幣を集めているのだが、何か日本の紙幣を持っていない」と話しかけてきます。

 私は珍しい人もいるもんだと単純に考え、たまたま持っていた紙幣を見せましたが、いきなりそれを奪い取ろうとしたので、日本語で「何をするんだ!」と大声を出したところ、慌ててどこかへ行ってしまいましたが、これは紙幣詐欺ですね。危なかったです。



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