「花子」から「オールド・ダッチ」へ

年始の花子は休みだった

 ホテルで若干休んで元気を取り戻し、夕食は昨年お世話になった「花子」で食べることにしてホテルを出た。相変わらずホテルの若いフロントマンは無愛想である。

 折角観光に来たのにホテルがこれでは、と気にする人もいるだろう。むしろほっぽといてくれてありがたい、という人もいるだろう。営業としては難しいところだが、最低限軽い挨拶ぐらいは必要かなと考える。

 ともあれキーをストンとキーボックスに入れ、外に出る。途端に街の熱気が押し寄せ、折角ひいた汗がまた吹き出てくる。

 汗をなるべくかかないように、そして疲れないようにゆるりゆるりとアソーク駅方面に向かう。途中「アジアンブック」という本屋さんがあったので、どんな本があるのか見てみることにした。入り口は間口1間くらいでまさに街の本屋さんであるが、中は意外に広かった。

 1階に旅行書があり2階には専門書が並んでいたような気がする。入った瞬間に「サワディーカー」という例の柔らかい挨拶に迎えられるが、どうも気軽に返事が出来ない。せいぜい照れた微笑を返すだけである。ひと回りして、再び暑い通りに出る。

 ウエスティングランデという高級ホテルの前を通り過ぎ、急に照明の少なくなったホテル東側のソイ19を北上し、しばらく歩くと角に「ファミリーマート」があり、左側に路地が見えてくるのでここを左折し、ホテルの裏の方に回る。。

 この裏に目指す「花子」という居酒屋があるのだが、な、なんと電気が消えている。真っ暗だ。これはまいった。倒産?の2文字が頭をよぎるが、店構えはちゃんとしている。

 新年早々なので営業時間が遅いのか、とも考えたが、もうすでに夕食の時間だ。どうやら新年早々でまだ営業していないらしい。

 これは困った。昨年はこの店でお世話になったので、ホテルから出るときガイドブックの類はまったく持参してこなかったのだ。

 ガイドブックさえあれば、この近辺のレストランで近いところを探し出すのも簡単だ。いっそのこと先ほどのウエスティングランデに入り、高級レストランで食べるかとも考えたが、自分の姿を考えるとあまり似つかわしくないようにも思える。

 まいったなあと思いつつ名案が浮かばない。かといって暗がりの中で中年おじさんが一人ポツンと立っているのも怪しい雰囲気だし、逆に誰かにカモにされそうだ。


オールド・ダッチでスパゲッティを食べる

 というわけでホテル方面に戻りつつ考えていたところ、ふとやはり昨年お世話になった「オールド・ダッチ」と言う店を思い出した。

 男性諸氏ご存知の某通りの突き当たり角にある店だが、周囲の歓楽的な状況とはまったく別の落ち着いた雰囲気のオランダ料理の店である。(ただし9時を過ぎると欧米人とタイの女性の俄カップルが大勢食事をしています)

 ここもやっていなかったら万事休すだなと思いつつ、地下鉄の階段を下り、ソイ21の大きな通りを地下で横切って、駅の東側へ。

 途中構内の地下に小さいながらも新しく商店街が出来ていることを発見。機会があったら見てみようと心にとめる。(後日何回か行ってみたがめぼしい店は無し)

 時間帯が早いせいで、まだ活況を呈していない例の通りを、ぶらりぶらりと左右を見ながら余裕を持って通過し、一番奥右側のコーナーにある「オールド・ダッチ」に入店。

 通りから入ると右側がカウンター、左側に10ぐらいのテーブルがある。照明は薄暗いが、欧米人の明るい話し声が多いのか、雰囲気は陽気だ。

 一歩店内に足を踏み出した瞬間、目の前に日本の若者言葉で言うところの超〜可愛い女性が待っていて、例の挨拶をしてくれる。

 あまりの可愛らしさにうろたえつつ、とりあえず人数は一人だよという意味をこめて指を1本立てると、奥のほうの静かな席に案内してくれた。


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