30分ほどのクルーズを楽しむ
またまた5分ほどで川っぺりの桟橋に到着。まもなく15人乗りぐらいの船が到着。早速乗り込む。
アユタヤの地形で面白いのは、周囲360度が数本の別々の川で囲まれていることだ。街そのものの大きさは縦横数kmだから、歩いて観光するのはちょっとしんどい。そのためレンタサイクル屋さんが繁盛しているようだ。
水に囲まれた場所に重要なものを建設するというのは、やはり軍事的に有利なのだろう。日本のお城の濠を思い出した。
船はエンジン音が大きい割りにスピードは出ない。船長というか運転手と言うかよく分からないが、ともかく操船を担当している人は、たぶんタイ語しか分からないのだろう。一言もしゃべらず、ひたすら後ろの方で運転に専念している。
川面を見ると、流れているのか流れていないのかさっぱり分からない。複数の川が、合流したり分岐したりしているので、川もどちらに流れたらよいのか考えあぐねている様子だ。その中をけたたましい音を立てながら、ゆるゆると進む。
川岸の景色の中に、時折巨大な美しい建物が現われる。ワットなんとかというようだが、私にはどれも同じように見える。それよりも私には、茶色に見えるこの川の水で洗濯をしたり、体を洗ったりしている庶民の暮らしに興味を感じた。
釣りをしている姿も結構見かけたが、釣り上げる魚は見えなかった。なんとなくのんびり出来たクルーズだが30分ほどで終了。あとはひたすらバンコクに戻るだけだ。時間はすでに5時。日も傾きかけている。
車に乗り込むと、ひたすらバンコクに向けて爆走である。スモッグでかすんだ西の空に、オレンジ色の夕日が落ちていく。疲れが出てちょっと眠ってしまった。
起きるともう市街は近い。高速道路から周囲をキョロキョロ見渡し、どの辺なのかなと地図と見比べているうちに、例によって激しい渋滞につかまる。
どうせそうなるだろうと思っていたから焦りはあまりないし、だいいちこれからどうするかも決まっていない。
とりあえず夕食の場所ぐらいは決めておくかと考え、車の中でガイドブックを取り出し思案。
そういえばバンコクは物価が安いので、ステーキやしゃぶしゃぶも結構良いものが食べられると言う話を、インターネットかなんかで読んだ記憶がある。今日は昼もたいしたものは食べていないので腹も減っている。ここは一つちょっと奮発するか、なんて思いながらステーキのお店を探す。
すると例の「地球の歩き方バンコク」の中に、「チョークチャイ・ステキハウス」というお店の記述を発見。内容を見ると場所は夜遊びのスクンビットに近い。ここならホテルにも近い。
よしこれでいこう、なんて決めた頃おあつらえ向きに車は伊勢丹前到着。車が渋滞しているので、長い時間は停められません、とのガイドさんの言葉に、お礼の言葉をろくに言う暇も無く下車。一路BTSの駅に向かった。