「ハッピー」と「スーパーガール」

 「ハッピー」という店は路地の奧にあるんですね。そのこと自体は特に問題はないのですが、その30mぐらいの路地の両側はほとんどがバービアで、その路地を挟むように多数の女の子が座っています。そしてこの子達の呼び込みがものすごいです。

 例によって最初はにこやかに通り抜けようとしたのですが、ニコニコしているだけでは同意したと勘違いされ店に連れ込まれるような危険すら感じたので、手で駄目駄目と合図を送りながら通り抜けました。

 「まったく一つの店に行くために何でこんなに神経を使わなくちゃいけないんだ」と思いつつも、心の片隅では若い女子達にキャーキャー言われてニンマリしている自分がいます。他愛ないなあとつくづく思ってしまいます。

 というわけでようやく正面の「ハッピー」に近づくとカーテンがさっと開けられご案内。カウンターの席に案内されました。目の前で女の子の足が動いています。かなりの近距離です。時間は8時半ぐらいで客はまだ少ない様子。

 店は左奥の方に長い構造で、ステージを少し遠くから取り巻く普通の椅子席もあったのですが、何故かそちらには案内されませんでした。店そのものもそれほど大きくないので、ソファー席とカウンター席のバランスをとったのかもしれません。

 ステージ上では7〜8人の女の子が踊っていましたが、時間が来ると一人だけステージから降り、新たに一人が上がるという方式で、なかなか全貌がつかめません。

 それでも私が足を見て、腰を見て、ついでに顔をチラッと盗み見たときに微笑み返してくれる子がいたりして、「おっと、まずいまずい。この店は偵察だけのつもりなんだから」と自分に言い聞かせます。

 下から見上げただけですし、光の具合もありますので断定は出来ませんが、そこそこ可愛い子が揃っているなという印象でした。ただ隣に呼んでみようと思い至るまではいかないかなと感じました。そこで一回りして同じ子がステージに上がりだしたのを機に、ビール1本で退散することにしました。

 さて次はどこにしよう?再びバービア嬢の嵐のような呼びかけをスルーして通りに出ると、さらに人が増えています。ともかく3m歩いて立ち止まり、2m歩いて人を避け、という混雑です。

 しかし「ハッピー」で女の子と一緒に出かけることにした人は、あの両側からバービアが迫っている幅5mぐらいの通りを歩いていくのですから、すべてのバービア嬢に誰と一緒なのか筒抜けです。

 時間は9時半。品行方正?の初老のおじさんとしては、今日はあと1軒か2軒だなと判断しました。パタヤへの移動でかなり疲れも感じています。

 そこでこれまた比較的有名な「スーパーガール」という店へ。ウォーキングストリートをちょっとホテル方面に戻り右折。そこからゴーゴーとバービアが密集した場所を50mほど歩いていくと、なんか通りが斜めに曲がっているところがあり、その左側にありました。

 入り口に体格の良い男集が数人いるので近づきにくい雰囲気ですが、寄っていくと私を労るように(逃がさないように)背中を押して店内へ導いてくれます。(かなり大柄な男性なので、身長172cmの私が子供のように感じました)

 すぐに座席に案内されステージを見ると、ここも順繰りに一人ずつがステージに上がる方式です。ただステージ上の女の子の顔つきは、私の主観ですが「ハッピー」より良い感じでした。

 しばらく見ていると、一人だけ目鼻立ちのくっきりした子がこちらに盛んにアピールするので、こうゆう意欲的なアピールに弱い私は、パタヤの子はどんな感じだろうと隣に呼んでみました。ところが飲み物をどうするかなと思いつつ話し始めると、すぐに「外へ」と言う語句が。

 「やっぱりここもそうか。まあしょうがないな。」と思いつつ返事をどうしようか(ホテルに行く行かないではなく、どうやって断ろうかという返事です)考えていると、ウエイトレスさんが近づいて来て女の子に耳打ち。

 どうやら私とステージをはさんだ反対側に座っていた大柄な欧米人がこの子を呼ぼうかどうしようかどうか迷っていたらしく、そこを私が呼んだもんですから焦ったようで、一気に話が進んだようです。

 女の子に「誰かが呼んでる?」と尋ねると「はい」と言って、さりげなく視線で教えてくれました。どうもあまり呼ばれたくない相手だったようで、行きたくない様子が見え見えでした。そのためいきなり私に「外へ行こう」と言ってきたのかもしれません。

 そこで「いや、こっちが先だ」と突っ張れば恰好よかったのかもしれませんが、私自身にその気がなかったので、「分かった。じゃあ向こうのお客さんの相手をしていいよ」と送り出しました。

 しかしその後いろいろ考えている内に、上の事に気がついたので、ちょっとだけ後味悪い思いがしました。(私がそう思う必要はまったくないのですが)そこで私もこれを機に、この日の夜遊びはお終いにすることにしました。

 ビール1本でいさぎよく?撤退。そのままホテルに戻って熟睡、という結末です。



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