第7日目 アトリエ閉店? 

 多数の女の子に並ばれて恥ずかしくて選べないというような年齢ではないのですが、いかんせん何回も書いているように視力が悪いのと照明が暗いという相乗効果で、並んでいる子たちが、どんな顔立ちなのかさっぱり不明。分かるのは背の高さや髪の長さぐらいです。

 店内では気に入った女の子を選ぶことが出来るという話しは聞いていましたから動揺はしませんが、見えないのでは話しになりません。

 (ただし10人ぐらいだったので動揺しなかったのかも。30人を越したら、例え顔が見えても選べないかもしれません)

 近くに行ってよく見るという方法もありますが、そこまで強気にはなれません。というわけで、しょうがないので「私はタイ語が分からないので、日本語が分かる子を教えてください」とママさんに伝えると、そう言われることを予想していたのか、数名の子が手を上げてくれました。

 正直なところ意外に少ないなという印象です。日本人相手の飲み屋さんですから、ほとんどの子が片言の日本語を操るのかと思っていました。

 私のほうは、今回は初めてだし、若い子が自分の父親のような年齢のおじさんを相手にしてくれるわけですから「基本的には話しが出来れば言いや」と思っていたので、迷わず一番端にいて、こちらをしっかり見て、一番高く手を上げた子を見て、「あの子でお願いします」とママさんに伝えます。

 そのくらい意思表示がはっきりしているのなら、少なくともいやいや私の相手をすることもないだろうという判断です。

 するとそれ以外の子はあっという間に解散。見事なものです。すぐにその子が近づいてきて、日本語で「何を飲みますか?」と丁寧に聞いてきます。

 「う〜ん、この雰囲気が、普段家の中で頭の上がらないおじさんには気分がいいのか〜」「やっぱりゴーゴーの子とはちょっと雰囲気が違うな」なんて内心思いながら、いつものようにビールを注文。

 やがてビールと共にちょっとしたお菓子とフルーツが運ばれてきて、とりあえず会話の時間。

 しかしゴーゴーと違って、体を寄せてくることもなく、90度の角度で座り、何だか面接をしているような雰囲気。「通いつめればこの距離も徐々に近くなるのかな」なんてことを思いながら、とりあえず自己紹介。

 名前や年齢、出身を聞きました。年齢ですが20数歳と言っていました。驚いたことに?まだ学生であるということです。

 日本語のレベルは、しっかりしていて、私の英会話のレベルよりはるかにマシ。この若さでここまで日本語が話せるのか〜とちょっと感動。

 しかし良く考えると、日本語がある程度話せるということは、この子を選ぶ日本のお客さんが多いということで、日本人好みの人気者を選んだということなのかもしれないなと、後になって気が付きました。

 大学で勉強している内容も聞きましたが、個人が特定されそうなのでここでは名前と共に伏せます。

 しかし一通り自己紹介が終わると、そこから先、話し下手の私には辛い時間となります。通常その場合、カラオケなんかを歌うのかもしれませんが、初めての店では歌いづらい。

 ゴーゴーならダンスを見て時間をつぶしたり、ちょっとマッサージの真似事をしてスキンシップを楽しんだりすることも出来ますが、90度の角度で座っているのでそれも不可能。

 しょうがないので、田舎の場所を聞いたり両親の仕事を聞いたりしましたが、農業をやっているということでした。

 そんな中、彼女の口から、予想外の言葉が。私に関する事ではありません。なんと「アトリエ」は2014年内に閉店だそうです。

 確かに私が入ってきてからもお客さんが誰も入ってきません。この子によると、入り口まで来て、並んだ女の子の顔を見て帰る客も多いそうで、「ちょっと不愉快」というようなニュアンスでした。

 ともあれ経営は厳しいらしく、どうやら同じビルの階下にある「マーメイド」だったでしょうか、この店に吸収されるみたいです。

 「あなたたちはどうするの?」と聞いたら、そのままマーメイドに移籍するようなことを言っていました。



トップページヘ 2014年12月バンコク 土砂降り